紀の川市後田(しれだ)の住宅地で平成27年2月、紀の川市立名手小学校5年生の森田都史君(当時11)が、胸などをナタのような刃物で刺され、殺害された事件の第1回裁判員裁判(浅見健次郎裁判長)が6日、和歌山地裁で開かれ、殺人と銃刀法違反の罪に問われている同市の無職、中村桜洲被告(24)は、午前中の罪状認否で「僕はやっていない」と起訴内容を全面否認した。
中村被告は、眼鏡をかけ、黒のはんてんのような上着、黒のスエットズボン、サンダルという姿で入廷。逮捕時には丸刈りだった髪は、前髪が鼻まで、後ろ髪は肩まで伸びていた。法廷でうつむくことはなく前を向いていたが、時折、口に空気を含み、頬を膨らませる仕草をする場面もあった。
検察官が起訴状を朗読している最中には、左右の足に体重を交互にかけ、途中、手や足を落ち着かない様子で動かしていた。起訴状の朗読を聞き終え、浅見裁判長から起訴内容について問われた中村被告は「内容は分かった」としながらも、「違います。全部違います。僕はやっていない。やっていない」と、起訴内容を否認した。
中村被告の発言は、弁護士と事前に確認していたものとは違っていたとみられ、弁護側はすぐに浅見裁判長に30分程度の休廷を要求。中村被告と弁護士の打ち合わせが長引き、結局、午前中は休廷となった。
凄惨な事件の真実を中村被告の口から聞きたいと、和歌山地裁前には、59の一般傍聴席を求めて、朝から約260人が集まり、抽選が行われた。
傍聴券を求めて並んでいた和歌山市内の70代の男性は「大変な事件だったので、興味があった。良くも悪くも、どんな育てられ方をしたのか知りたかった」と話していた。
判決は今月28日に言い渡される。