平成27年2月、紀の川市後田(しれだ)の住宅地で、同市立名手小学校5年生の森田都史君(当時11)が、胸などを刃物で刺され、殺害された事件の裁判員裁判(浅見健次郎裁判長)は3日目の9日、殺人と銃刀法違反の罪に問われている同市の無職、中村桜洲被告(24)の母親への証人尋問が行われ、中村被告が中学3年生のころから、母親に対して暴力を振るうようになったことや、凶器の刃物の存在を知っていながら、取り上げられなかったことを証言した。
母親は、中村被告から最初に暴力を受けた経緯を、「朝、起きてこないので、起こした時に肋骨付近をたたかれた」と話し、検察側の指摘で、「眼鏡の上からたたかれて鼻血が出た」とも証言した。
また、中村被告はいら立つと母親に対して「死ね、死ね」と暴言を吐くようになり、そのころから、会話も少なくなったと振り返った。
凶器となった大型の刃物3本の存在については、知っていたものの「怒り出すと思ったから取り上げなかった」と説明し、今回の事件につながるとは予想もしなかったと述べた。